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◇こだわりのShopをセレクト!◇
本・雑貨・地域…誠実な売る努力がつくる楽しい売り場
アスカブックセラーズ 店長  
有限会社 トリオ&カンパニー 代表取締役 河邊健太郎さん


 

お店を訪れた人が、自分のライフスタイルを見つけられる
…そんなお店を訪ね、お店作り・売り場作りについて伺った。

 
 
東京・東日本橋の老舗の書店である同店。3代目代表である河邊健太郎さんは2004年より「アスカブックセラーズ」の屋号で、地域に親しまれる書店を経営している。
店舗のある界隈はもともと繊維問屋の多い街だが、産業の形態の変化でリノベーションが増え、近年はデザイナーやアーティストの事務所等も増えている。河邊店長はそうした地域の変化に対応し、ファッションやデザイン関連の書籍を充実させていったという。
2007年頃より、売り場で書籍と併せて雑貨の扱いをはじめた。「最初は雑貨をレジ横から置き始めましたが、置けば売れるという状態でした」と河邊店長はいう。雑貨と書籍をともに扱う店は当時はまだ少なかったそうだ。

◆売り場の棚に“ストーリー”や“文脈”が生まれる

雑貨を扱いはじめた理由を「本の仕入れを通して、様々なジャンルのトレンドを知ることができるからです。世の中の関心が高いテーマに関連する本と雑貨を同時に展開することで、本と雑貨の相乗効果が生まれ、説得力のある売り場になります」と説明する。だからこそ売り場の棚に“ストーリー”や“文脈”が生まれ、楽しい出会いがある「町の本屋さん」になっている。
「本と雑貨を組み合わせて暮らしの楽しさを提案したい。昨今は“本離れ”が進むといわれますが、雑貨好きの方を含め、いまの若い人は活字がキライという訳ではないと思う。ちょっと違う角度で本の楽しさに触れてもらいたいですね」と河邊店長は語る。


▲「猫」をテーマにした書籍と雑貨の売り場。
両者を組み合わせて立体的に見えるようディスプレイを工夫している


▲雑貨は主に東日本橋の大手の雑貨問屋・数社より店長自ら選んで仕入れている。安い価格帯のものから、2000円以上の高価格のものまで幅広い


▲キャラクター雑貨の品種も多い。
雑貨の商品は在庫をあまり持たずに売れたら補充する。


▲近隣のファミリー層からはアンパンマンが大好評。
店内が子どもたちで賑わう時間帯もある。


▲ファッションやデザイン関連の書籍が充実。
地域の繊維関連の店舗や企業への納品も行っている。


▲文具コーナー。「本は売れなければ返本できますが、雑貨は買取りなので、売る努力を欠かせません」という。

『アスカブックセラーズ』のある街「東日本橋」とは?

 
江戸の昔から栄えてきた、東京でも有数の繊維問屋街である東日本橋・馬喰横山界隈。産業の形態の変化で最近では街にも変化が訪れ、空きビルや空き倉庫も見られる。しかしそうした空間を利用して、輸入雑貨店や現代アートのギャラリー、デザインや建築関係の事務所などが増えつつあり、街に新しい魅力が加わっている。

アスカブックセラーズ

〒103-0004 東京都中央区東日本橋2-2-4 東日本橋駅前ビル
TEL. 03-3863-3417