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◇こだわりのショップをセレクト!◇
お店は人と人をつなぎ、街を元気にする拠点
ダイタデシカ、 オーナー 南秀治さん






お店を訪れた人が、自分のライフスタイルを見つけられる
…そんなお店を訪ね、お店作り・売り場作りについて伺った。





2014年の6月、世田谷代田にオープンした“ありがとうを届ける道具店”「ダイタデシカ、」。売り場には全国の作り手がていねいに作りあげた品を、選りすぐって揃えている。日々の暮らしで毎日使う、暮らしに根付いたものを揃えたお店だ。
オーナーの南秀治さんは、6年前にこの街で家具工房「monocoto」を始めた。“街の家具屋”を目指し、オーダー家具の製作やリペアなど、きめ細かな注文にも対応している。それまでのIT企業の営業から転職して始めた仕事だが、「自分の仕事が世の中とつながり、どう役立っているのか。今の仕事ではその手応えが感じられます」と南さんはいう。
自分が働く街に家族と暮らし、仲間やご近所との付き合いを大切にする。人の温かさに触れられる“当たり前の暮らし”を今だけでなく10年、20年後まで続けられるような仕事の仕組みや流れを作りたかったと語る。
そうしたなかで南さんは4年前に、ものの作り手と使い手が交流できる街のイベント「世田谷代田ものこと祭り」を立ち上げ、以後年に1回開催している。ガラスや陶磁器の器、革小物、帆布のバッグをはじめ、全国から50組ほどの作り手を招き、代田かいわいのあちこちに1日だけのお店が開かれる。イベントのテーマは「“ありがとう”で、つなごう」だ。
このイベントで発信する思いを、暮らしに根付かせる場として開店したのが“ありがとうを届ける道具店”「ダイタデシカ、」だ。作り手の思いが伝わる暮らしの道具を取り扱い、大切な人に贈るギフトの提案も行う。お店の顧客は女性やファミリー層をメインにご近所の方の来店も多く、店を訪れるお客様との温かいコミュニケーションの場ともなっている。
住宅街にある店舗の立地は一見不利な条件に見えるが、周囲にお店の少ない場所では、逆に注目度が高いという利点があると南さんはいう。


◆ 売り場では1点ものの商品が人気。修理やオリジナルオーダーも受け付ける




木造住宅をリノベーションしたお店は、木の温かみを感じさせる造りで、畳敷きのイベントスペースもある。売り場では月に1度テーマを決めて催事を行い、併せて商品の作り手の個展なども開催する。
売り場では花瓶やバッグなど1点ものの商品の人気も高いが、それらの修理やオリジナルのオーダーも受け付け、使い手の声を取り入れて作り手との双方向のやりとりを実現させている。そうした取り組みは、雑貨のものづくりとその販売の世界では、これまでなかなか行われていなかった事だ。手間はかかるが、数量や規模・効率性を求めるのではなく、ものを通じて人と人、人と街のつながりが深まり、それを持続させていける仕組みづくりを目指している。
「良いものを大切に使う、そうした当たり前の価値観を持つ暮らし。それが幸せだという体験を、お客様にして頂きたいと思っています」と語る南さん。お店やイベントを通じて人と人をつなぎ、街を元気にする試みを続けている。


▲木のぬくもりが感じられる店内。


▲日々の暮らしで使い続けられる品物をセレクトして扱っている


▲ポストカードやのし袋など、人のつながりを作る大切にするアイテムも揃う


▲店舗の奥にあるイベントスペースは、まるで茶の間のような温かさ

ダイタデシカ、

〒155-0033 東京都世田谷区代田5-9-7
TEL. 03-6677-4394
http://www.daitadeshika.com